こーにゃーの結婚2年生

知らない土地で暮らし始めました。

【介護】母90歳、息子65歳【末期癌】

こんにちは!こーにゃーです。

 

非常に珍しいケースなんですが、以前の職場に母と息子、親子の入居者様がいらっしゃいました。

 

お母様は90歳を超えていましたが、しっかり自分で歩くことができ、認知症もなく優しい方でした。

 

息子様は65歳ぐらいの若い方でした。一見介護施設に入る必要のない入居者様です。

 

 

息子様は末期癌でした。

 

親子関係

お母様は入所する前まで一人暮らしをしていました。身の回りのことは自分で行うことが出来ますが、足腰が弱くなり一人での生活に不安が出てきました。

 

息子様は若いころから無茶を沢山していたそう。毎晩飲み歩いたり、喫煙、暴力、ギャンブルと、好き勝手に遊んでいたと伺いました。

 

癌と宣告され、余命も短い中、最後に母と一緒に過ごしてほしいという家族の思いから、施設に入所されました。

 

しっかり者のお母様と無茶をする息子様。疎遠状態が長かったそうです。

 

ですが施設では一緒に食事をしたり、ソファーに座りテレビを見るなど、親子の限られた時間を一緒に過ごそうと努めていました。

 

息子様の入院

 

息子様の容体が悪くなり、一カ月間入院することになりました。

 

息子様が施設を離れ、病院で過ごしている間、お母様は息子様の居室に毎日訪れ、部屋を整理したり空気の入れ替えをしていました。

 

本来、他者の居室に入ってしまうことはいけないことです。ですが皆黙認していました。

 

入院してから一カ月後、息子様は退院してきました。

ガリガリに痩せ、食事を口から摂ることが出来なくなっており、鼻から管を通してます。

歩くことが出来なくなっており車椅子でした。

 

病院にいる時、本人が言ったそうです。

「最期は母の近くにいたい」

 

本人の希望で、私たちの施設で看取ることになりました。

 

余命数日

 

「いつ亡くなってもおかしくありません」

医者からはそう言われていたそうです。

 

もちろんお母様はそのことを理解することが出来ます。

 

お母様は朝起きるのが早かったです。起きてまず、息子様の部屋に行きます。しばらく部屋の外で座って過ごします。

 

息子様は、日に日に目がうつろになりました。身体の痛みから、辛そうな声をあげていました。

 

お母様は、ずっと見ていました。

 

退院から一週間後、息子様は施設で他界しました。

 

 

なくなった日の夜、私は夜勤でした。

お母様はよく眠れていました。

 

朝4時、お母様が起きてきます。日課の歩行練習を始めました。

 

「おはようございます」

 

「おはよう」

 

「体調はどうですか」

 

「いいよ、よく寝れたしね」

 

お母様は続けます。

「あの子は本当に馬鹿な子だよねぇ、親より先に死んじゃって。辛そうだったしねぇ。でも安心したよ。そんなに長く辛い思いせずに済んで。煙草とか酒とか身体に悪いことばっかりやって本当馬鹿だよ。」

 

お母様は顔色一つ変えません。

 

日中に息子様が息を引き取った時、職員の中には泣いてしまう方もいたのですが、お母様は涙一つ見せなかったそうです。

 

お母様は葬儀にも参加されました。その後の施設での生活も全くお変わりないです。体調を崩すとか、食事を食べれなくなるとか、そーゆーことは一切無かったです。

 

お母様は息子様が亡くなったことをしっかり理解してます。息子様がいたお部屋に行くことも無くなりました。

 

親子で施設で暮らすこと

 

介護施設に親子で入居されるって滅多にないことだと思います。

 

ご家族様は「一緒に入れたおかげでおばあちゃんも良かったと思います」とおっしゃいました。

 

正直わかりません。一緒にいなければ、息子様の弱っていく姿を見ることはなかったと思います。

入所されてから亡くなるまでの3ヶ月、親子で過ごせたのは良かったことなのでしょうか。今もわかりません。

 

私達は、弱っていく息子様に対して、何かをすることはできませんでした。

 

ですが、この親子が一緒に過ごせる居場所を提供することが出来たことだけは、よかったのかなと思います。