介護士こーにゃー 嫁はデブ

介護と夫婦の話が多い雑記ブログです

【介護職の体験談】生きることにつながる食事。皆と同じ食事が食べられる喜びは想像を超えた【介助食から常食へ】

特養介護士のこーにゃーです

私の体験した一人の入居者様の話です

 

自立者から寝たきりへ

一年前、職場にいた一人のおばあちゃんが倒れました

原因は脳出血でした

 

一人でなんでもできたおばあちゃん

笑顔が可愛くて他の入居者様とも仲良くしてくれて

歩いたりトイレも自分でできる方でした

 

退院し、施設に戻ってきたとき、寝たきりの状態になっていました

食事はソフト食というとても柔らかい食形態でしか食べることが出来ません

車椅子に座ることも難しい状態です

 

会話はできる状態でしたが、言葉数も少なくなってきていて活気もありません

 

「皆と同じ食事が食べたい」

もともと本人は社交的な性格で、何より皆が集まる食事の場を好んでいました

 

退院直後、ベット上で一人で食事を摂っていたときに出た言葉です

「皆と同じ食事が食べたい」

 

本人の気持ちに応えるために、現状と対応方法を挙げていきました

 

本人の状態 今何ができるのか

【本人の状態】

認知症です

・麻痺はありませんが動作は緩慢で筋力低下があります

・飲み込みが非常に悪いです

・ソフト食(介助食)、とろみが必要です

・生活動作には、すべて介護支援が必要です

・座位の姿勢を取ることが難しいです

・生きる意欲があります

 

【本人の想いに応えるために】

・筋力の向上を行い、車いすに座れるようになる

・口腔機能を向上し、安全に食事を摂れるようになる

 

まずはとにかく車いすに座れるようになり、リビングで食事を摂る事ができるようにならなければなりません

このままベット上で食事を取り続けていくと、筋力はどんどん低下し、脳の機能も低下していきます。

 

まずはリクライニング式の車いすに座ってもらうことから始めました

 

長時間の離床は難しいが、皆と顔を合わせることに喜びを感じる

リクライニングの車いすに座ってもらいました。始めは30度ぐらいの角度でベット上で過ごす角度と同じぐらいです

 

他の入居者様とは食事の見た目が悪く、とても美味しそうには見えません

ですが、本人の様子はベット上とは明らかに違います

笑顔も多く、食事量も大幅にアップしました

 

また、他の入居者様から「久しぶりだね」、「元気だね」と話しかけられることが刺激になっています

 

食事を食べ終わると疲れてしまい、傾き目を閉じてしまいます

座っていられる時間は30分ほどと短い時間です

 

それでも、毎日離床を続け、少しずつリクライニングの角度を起こすことが出来るようになりました

 

リクライニング式の車椅子から、通常の車椅子へ

座位の姿勢が安定するようになり、通常の車椅子へ変更するようになりました

 

リクライニング式の車椅子って、やや高く、仰々しいんです

通常の車いすは他の入居者さんとの目線も同じで、接しやすい雰囲気になります

 

最初は首が後ろにのけ反ってしまいますが、補整してあげることで過ごすことが出来るようになりました

 

食事以外の時間も起きていられる時間が増えてきて、体力や筋力が入院前に戻ってきました

 

飲み込む力の向上

起きている時間が増えたことで、活動にも参加できるようになりました

それまでもベット上で行っていましたが、他入居者と一緒に活動できることは本人の活力につながったようです

 

口腔体操や下肢筋力体操、音楽レクや施設行事に参加することができ、身体機能の向上が見られてきました

 

その効果は飲み込む力にもはっきりと現れてきて、むせ込む回数が減ったり食事時間が短縮してきました

 

自分で食事を食べるようになる

退院してからは、ずっと職員の介助をうけていました

ゆっくりと食べるよう、職員がペースを作っていました

 

ある日、食事の配膳が終わると自分でお茶碗を持ち食べ始めようとしました

おぼつかない手でスプーンを持ち、ゆっくりとお粥をすくい食べました

 

「美味しい」

 

にっこりと笑顔で食べる姿に職員は感動

 

それ以降、本人が自力摂取する様子を見守る形での支援に変わりました

 

介助食から常食(やわらか食)へ

嘱託医、看護、機能訓練士、ケアマネージャー、相談員、ワーカー

全員がやわらか食を食べれる状態になったという思いがありました

 

やわらか食というのは、見た目はほとんど常食と一緒ですが、硬いものは軟らかくした食事です

 

食事変更したその日、他の入居者様と同じ食事が配膳されました

 

「皆と同じ食事ですね」

 

職員がそう伝えると、

 

「嬉しい」

 

入居者さんは涙を流しました

 

ゆっくりと魚をほぐして食べる

ソフト食に比べ、食べづらいですが、一生懸命にスプーンですくって口に運びます

 

時間はいつもの倍以上かかりました

それでも、全部食べました

 

「美味しかったです」

そう話したその方の笑顔に涙を流す職員もいました

 

退院から約一年

皆と同じ食事を食べることが出来るようになりました

 

考察 

・退院直後の状態をしっかりとアセスメントした

・一つ一つできることを増やしていき慎重に行った

・本人の食べやすい環境を作ることができた

・嘱託医の指示のもと、ケアの統一を行った

・本人の「皆と同じ食事を食べたい」という思いを、施設職員が共有することができた

 

以上のことが、今回の結果に結びついたんだと思います

 

まとめ

高齢者が一度落ちてしまった身体機能が、再び戻るということはなかなかありません

大抵筋力低下とともに認知機能の低下が進み、食事を取ることが生命の維持という理由に留まってしまいます

 

しかし、食事はただ単に生命の維持、栄養の補給というものではありません

食事を通して生きる喜びにつながります

 

介護の仕事をしていると、うまくいかないことばっかりです

ですが、今後も本人の生きる喜びにつながるケアをしていきたいと思いました