介護士こーにゃー 嫁はデブ

介護と夫婦の話が多い雑記ブログです

【介護】転んで骨折したけど対策できない。これがユニットケアの限界です。

特養介護士のこーにゃーです。

 

私の施設で、ある高齢者様が転倒し、足の骨を骨折しました。

 

足の骨を折るということは、高齢者にとって、もう歩けなくなるということと同義です。起きることも、トイレに行くことも、お風呂に入ることも、これからは介助が必要になるのでしょう。

 

1人の入居者様の人生を終わらしてしまったような感覚。

こーゆー時、介護って嫌な仕事だと感じます。

 

転倒リスク役満の入居者様

骨折した入居者Iさんは、まぁそれは大変な入居者さんです。

アルツハイマー認知症を患っており、帰宅願望・徘徊等の周辺症状が出ていました。

 

アルツハイマー認知症・周辺症状についてはこちら>>>アルツハイマー型認知症の特徴とは?症状の特徴、周辺症状、原因について

 

それに加え、車椅子から立ち上がって歩き出してしまうのですが、ふらついてしまうのでかなり不安定でした。

 

よくあったのが、他の入居者様をトイレに連れて行っている間に、一人で歩いて行ってしまい、転びそうになる。

気づいたらいなくなってしまい、居室の中を物色しているように、普段からいつ転んでもおかしくない状態でした。というか、これまでも何回か転んでいます。

 

 

Iさんは普段は可愛らしい方だったのですが、一度興奮しだすと抑えきれず、

「いやだ!帰る!」と大声を出して歩き回る方でした。

一つ声掛けを間違えると大変なことになる。そんな難しい入居者様でもあります。

 

1人でトイレに行き、転んだIさん

Iさんのベッドには、センサーを設置しています。起き上がったらセンサーが感知し、職員が携帯してるPHSに反応します。

 

全ての居室にはナースコールがありますが、Iさんは押してくれません。そして一人でトイレまで歩いていこうとするため、職員はこのセンサーを頼りにトイレ誘導しています。

 

夜中は結構な頻度でトイレに行くIさん。日中よりも歩行は不安定で、目がほとんど開いていない状態で歩いていくこともあります。

 

転んだ時も夜中でした。センサーは鳴っていましたが、職員は他の入居者様の対応をしており、少し遅れてしまいました。既にトイレに入っており、便器の前で倒れてました。

 

ユニットケアの限界

私たちの施設は、ユニットケアを主体とした施設です。

ユニットケアとは10人程度を一つの単位として共有のスペースで生活し、そこに職員を配置するケアのこと。

 

ユニットケアについてはこちらから>>>ユニットケアとユニットリーダーについて

 

ユニットケアの意義として、一人一人の高齢者が自分の望む暮らしができるように、小規模の人数でそれぞれが自分らしく生活するというものがあります。

 

しかし、小規模の単位であるからこそ、職員の配置も少ないです。

特に夕食後からは職員一名で対応しなければいけません。

 

Iさんのように、転倒リスクの高い方がいると、他の方のニーズに答えることが出来なくなります。ユニットケアが崩壊します。

まして、このユニットには、Iさんの他に二人、同じように危険な方がいました。

 

もはやこのユニットは限界を超えていたんです。

 

転んで骨折しているのに、対応策が無い

Iさんが転んだ深夜帯、職員は一人で2ユニット=20人を見ています。

 

この20人の中で、一番危険があるのはIさんで、最優先すべき入居者様です。

しかし、センサーが感知してすぐに対応できるわけではありません。

 

Iさん以外にもトイレに行きたい人はいるし、他にも助けてほしかったり不安に駆られている入居者様もいます。

Iさんのセンサーが感知しても、どうしてもいけない状況は絶対にあったのです。

 

ポータブルトイレ(簡易トイレ)を使用するという考えもありましたが、目をつぶって歩くIさんにとって、ポータブルトイレは障害物にしかなりません。

 

職員の数を増やすこともできなかったです。何度か打診しましたが、人件費が高騰することを言われました。

それにそもそも、そんな職員の余裕もありません。

 

『そもそも余裕のない環境に面倒見れない入居者を入れた施設が悪い』

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

Iさんには弟さんしか身寄りがなく、弟さんも高齢です。夜間に1人でトイレに何度も行く度に起こされる弟さんには負担が大きすぎました。

 

そして、足が悪い弟さんは、自宅から一番近い施設を望んでいたのです。それが私たちの施設でした。

 

そして、今の介護業界に入居者さんを選んでいる余裕もないのです。増加する介護施設の倒産。私の施設も一年後にどうなっているかわかりません。

 

関連記事>>>超高齢化社会なのに倒産する介護施設。介護業界が抱える現状と課題。介護業界は仕事に困らないは嘘だよって話。

 

今回の事故を防ぐ方法は、拘束か薬による薬物療法しかなかったのかもしれません。

 

認知症とはいえ、自分の意志で身体を動かせる入居者様をこちらの意図で動かなくさせるのはしたくなかったです。

本人も家族も望んでいなかったですしね・・・。

 

おわりに

Iさんは現在入院しています。施設に戻ってくる頃には、おそらく寝たきりか車椅子の生活が待っていると思います。

 

弟さんも「仕方ないですよね、ご苦労かけてすいません。」と言ってはくださったのですが、こちらとしても申し訳ない気持ちです。

 

この話は珍しい話ではなく、どこの介護施設も抱えている問題だと思います。

 

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